JUGEMテーマ:健康
久しぶりのブログ更新です。
最近、脳ダイエットカウンセリングをしていて
気が付いたことを書いてみたいと思います。
私は産業医といって、現在20社の会社さんと契約し
私の方から会社に出向いていって、
その会社の社員さんと色々なテーマでカウンセリングを行っています。
その中で、最近、ストレス太りに関するものがありました。
「ストレスがかかると、甘い物が欲しくなって食べてしまうので
なかなか痩せられない・・・どうしたらいいですか?」
という30代の女性社員さんからのお悩み相談でした。
彼女の話を聴いていると、
彼女のストレスは多岐にわたっていました。
職場の人間関係、同僚や上司はもちろんのこと担当クライアントとの
大小の様々なトラブル、意思疎通の不全感。
そしてプライベートでの恋人や親との関係。
ひとつひとのシチュエーションは全く違います。
しかし共通しているストレスは、
「いつも私ばかり我慢しなくてはいけない」という心の抑圧でした。
彼女はいわゆる「優しく思いやりのある女性でありますように」と
両親にしつけられ、それをそのまま自分の理想にして生きている女性でした。
だから、相手にできるだけ合わせようとする。
自分がNOと言って嫌われたり、「わがままだな」と責められたりするのが怖いから、
極力自分の意見を言わない。
そんな生活を公私ともに続けているため、
常に「自分だけは必死で我慢している。そして相手に思いやろうと頑張っている。
でも周りはそれを察してくれないし、
褒めてもくれない。」
という不満が溜まり続けていたのです。
その結果、憂さ晴らしの方法として、
「食べる」という行為に走ってしまっていたのです。
甘い物は、たしかに食べると心がほっとしたりリラックスしたりする効果が
あります。
赤ちゃんが飲む母乳は、実はほんのり、いや、かなり甘いのです。
牛乳よりも実は甘い。
だからこそ、人間はつらい時や疲れた時、寂しい時には、
甘い物が欲しくなる人が多いのです。
もちろん、血糖値がすぐに上がるために、
空腹で疲れた体に甘い物を入れると
即効性にエネルギーが湧き快適に心地よくなります。
こうした快感の記憶が残っているため、
疲れやイライラを感じたら、甘さのあるものが欲しくなるのです。
また脳のセロトニンは、心を穏やかにするストレスに対抗する脳内物質ですが、
ストレスをためている人は脳内のセロトニンが不足しがちになります。
不足したセロトニンを合成するためにも糖分が必要です。
トリプトファンというタンパク質を原料として作られるのですが、
肉などから摂取したトリプトファンを脳に運ぶにはブドウ糖が必要なんです。
だからストレスを貯めていると甘い物が欲しくて仕方なくなるのです。
と、いろいろと詳しくしくみをつい書きすぎましたが・・・
とにかく「自分の気持ちを我慢することを家でも職場でも続けているストレス」で
彼女は甘い物が止められなくなっていたのです。
で、私からのアドバイスは、
まず「自分の気持ちを抑えつけないで、少しでも伝えていきましょう」ということ。
アドラー心理学の「嫌われる勇気」が大ベストセラーになっていますが、
とにかくこの本のメッセージも
「嫌われてもいいから、
自分の心に素直になって生きること。
それが本当の幸せにつながる」
というところがメインだと思います。
「すぐに自分の気持ちを相手に伝えろと言っても、その勇気がない」という人や
「我慢しすぎてしまって、自分の気持ちがわからない」という人は、
まずは自分の心と身体と向き合う時間を作ってください。
1日5分でも構いません。
眼を閉じて、
「本当はどうしたいの?」と心に尋ねてあげましょう。
それでもわからなければ、しずかに呼吸をゆっくりと
鼻先の息の流れを感じながら、
何度も何度も繰り返します。
するとぼんやりと自分の本当の気持ちが湧き出てくることもあります。
何かが浮かんで来たら、「私は〜〜〜と思っているんだ」と認めてあげて
また静かに呼吸に意識を戻してください。
これは、現在マインドフルネス瞑想という名前で
精神医学でも取り入れられている心を整える瞑想法の一つです。
こうした瞑想法も活用して、心と毎日向き合いましょう。
まずは心に向き合って、自分の気持ちを認めて上げる。
そして過剰な我慢をやめて
「私は本当は〜〜〜したい」
「だから、あなたの望むことは全て叶えてあげられません」
と伝える勇気を持つこと。
あなたの気持ちを伝えることで、
怒ってしまったり、
ひどい仕打ちをしてくる人とは、
離れる勇気を持ってください。
「私が過剰な我慢をしなければ付き合えないという人からは、
嫌われてもいいや〜〜」という
まさに「嫌われる勇気」を持つと、ストレスが溜まりにくくなります。
アドラー心理学でも繰り返し書かれていますが
全ての人に好かれることは不可能です。
また自分を理解しようとしてくれない、自分を大切にしてくれないような
一部の人から嫌われることは、決して悪いことではありません。
世界は果てしなく広いし、大勢の人間が暮らしています。
ごく一部の人に嫌われたとしても、
絶対あなたを認めてくれて、ありのままの姿のあなたを
好きだと言ってくれる人が、必ずどこかにいます。
それに気づけば嫌われることを過剰に恐れる心が減ってきます。
そして少しずつでも
「そのときどきの自分の気持ちを大切にした行動」が
できるようになってきます。
これをマインドフルな生き方と呼んでいます。
マインドフルな生き方ができるようになればなるほど
ストレス食べも自然に減っていくはずです。
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