スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| スポンサードリンク | - | | - | - | - | - |
苦労を語る人、語らない人
世の中には、自分の人生の苦労を語る人がけっこういる。
ちょっと親しくなったら、自分がいかに苦労してきたか、
大変だったかを語り出す人がいる。
または、お酒が入った時など限定で、
「実は自分は、今まで〜〜〜な苦労をしてね」などと
苦労話を披露する人もかなり多い。
だが私は口下手であり、根が人見知りで恥ずかしがりのせいもあり、
お酒が入っても滅多に自分の苦労話をしないほうだ。
 
だから周りの友人も知人もごく一部の人を除いて
「仕事も家庭も子育てもすべて順風満帆な幸せな人」だとか
「お医者さんでエリートで苦労を知らない恵まれた人」だとか
けっこうそんなイメージで私のことをとらえているらしい。
だが仕事も家庭も子育ても、順風満帆に維持し続けることこそ、
実は大変な労力がいるのである。
常に四方八方に目を光らせ、
バランスが崩れかけると見逃さずに修正する。
子供や夫との家族バランス、仕事と家庭にかけるパワーパランス、
自分の体と心のバランスなどなど
バランスを常にとっていくためには、
日々の地道なメンテナンスが絶対的に必要不可欠なのだ。
逆風がやってきたら、すばやく帆を張り
時には進路を変更する。
女一人でフリーランスで仕事をしていると、
たまに海賊みたいな卑劣な輩に理不尽なことをしかけられることもある。
そんなときには、意を決して応戦したりもする。
 
でもそんなことは、私は滅多に口にしない。
なぜかというと、精神科医という職業柄、
もっともっと大変な苦労している人を沢山知っているし、
私ごときの苦労話をするなんて、そういう人達に対しておこがましいから。
それに自分が話すより人の話を楽しく聴いているほうが好きだから。
 
だが先日、とある書籍の企画会議の席で
「働く女性が仕事も家庭も子育てもハッピーに両立させるコツを書きたい」と言ったところ
某男性A氏から、
「お金持ちの恵まれた女医さんの自慢話ですかあ?」とバカにされた。
これには自分でも驚くほどカチンときた。
涙が出るほど悔しく感じたのは、自分でも意外なほどだった。
 
13年前に家族だけで関西からポコッと縁もゆかりもない東京に出てきて、
事情があって夫の年収がいきなり半分以下になった。
3歳の長男と0歳の赤ん坊をかかえながら
子育てを助けてもらう親族も友人もいないなかで
一家の半大黒柱として医者業や執筆業を続けていく過程では
マタハラもパワハラもセクハラも経験した。
労働相談所に飛び込んだこともあったけ。
そんなことが映画の回想シーンのごとく頭をよぎった。
 
その某男性のA氏は子供がいない男性だった。
奥さんはいるらしいが、ダブルインカムで
夫婦ともに何にも縛られることなく、
思いっきり好きな仕事に打ち込んでいる人だった。
重要な交渉の最中に、保育園から熱が出たから迎えに来いと
電話がかかってきたこともないだろう。
子供が病気になるたび、どちらが休むかと
夫とケンカしたこともないだろう。
子供が学校へ行きたくないと泣いて
朝、家を出られなくなって遅刻して
クライアントからクレームを受けたこともないだろう。
疲れ切っていても駆け足でスーパーで買い物し
帰宅後ほっと腰かける暇もなく食事を大慌てで用意したこともないだろう。
ビジネスチャンスに繋がると確信する食事会の夜、
子供が熱を出したために泣く泣くキャンセルしたこともないだろう。
子育てしていない人には想像もできない苦労が
子育て中はとにかくいっぱいいっぱいあるんですよ。
特に女性がこの日本社会で一人前に責任もって働こうとすればするほどね!
そのA氏にささやかながら反論したくなって、
滅多にしない苦労話をブログに書いてみたくなった。
 
どんなに幸せそうに見える人の人生にだって
絶対苦労はある。
むしろ仕事でも家庭でも幸せをいつも維持しているように見える女こそ、
幸せを乱しにくる様々な大小の敵と
舞台裏では髪振り乱しつつ日々戦って
コツコツ小まめに排除しているからこそ、
幸せを維持できているってことも多いのだ。
とりとめもないブログになってしまったけど、
ワーキングマザーのみなさん、世の鈍感な男性たちに負けずに
これからも美しく強くしたたかに頑張りましょう!

 
| 精神科医&作家 奥田弘美 | About Me | 19:39 | - | - | - | - |
スポンサーサイト
| スポンサードリンク | - | 19:39 | - | - | - | - |